最初にその物体を見た時、直感的に「違和感」を感じました。
でもその瞬間、セラピさんから何か話しかけられて、会話しているうちに「違和感」は遠ざかってしまいました。
しかし、施術が進むうちに、「違和感」が蘇りました。
マットレスの横、畳まれたタオルの上に、オイルの瓶と一緒に並べられていました。
iPhoneです。ホルダーで横向きにキチンと立てられて、しっかりこちらを向いているのです。画面いっぱいにデジタルクロックが表示されています。
「へえ、これ、アプリ?こんなのあるんだ」と聞くと、セラピさんが「そうなんです。同僚に聞いて、これで時間を見てるんです」と答えます。
ふと、部屋を見渡すと、隅っこの棚の上に置時計があります。
「あれ、あっちにも時計あるけど」
「私、目が悪くて、あっちのが見えないんです」
そこで、しばし「違和感」の正体について考えました。
明らかにおかしいのです。セラピさんが見るためなら、セラピさんの見やすい角度に置かれているべきなのです。それなのに、iphoneは、横たわった私の身体全体と正対するような位置に置かれているのです。
「盗撮かな」
そんな考えが頭をよぎりました。
だとすれば何のため?
客が違反行為をしないように見張るため?
だとすれば、ここは健全店で、今日は塩対応?
いろんな想像が頭に浮かびました。しかし...。